キツネツキ
- メンバー
- 2人
- 掲載している機材
- 91点
サポートメンバーを含む場合があります。
キツネツキは、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎(ボーカル/ギター)と滝善充(ドラム)の2人によるユニットで、2017年に結成された。9mm Parabellum Bulletではギターを担当する滝善充が、キツネツキではドラムを叩くのが編成上の大きな違いで、固定メンバーにベーシストを置かない2人組を基本形としている。そこへ公演や作品ごとに「取り憑かれメンバー」と呼ばれるゲスト奏者が加わり、そのときどきで編成が変わるという成り立ちを取ってきた。
結成の直接のきっかけは、アルカラが主催するサーキットイベント「ネコフェス2017」への出演だった。フェスに出るために組んだユニットとして始まったため、初期は演奏内容も含めて出たとこ勝負の色が濃かったことを菅原卓郎が後年のインタビューで振り返っている。バンド名の「キツネツキ」は、逆から読んでも同じ並びになる回文で、菅原卓郎がバンド名になりそうな言葉として書き留めていたもののひとつだった。結成の年である2017年9月27日には、最初の音源となる1st DEMO『キツネツキ』を発表している。
全国流通作品としての節目は、2018年3月14日にリリースされた1stシングル『ケダモノダモノ』(GNCA-0523)である。表題曲はTVアニメ『キリングバイツ』のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲で、同作は2018年1月からMBSほかのアニメイズム枠で放送された。この曲のレコーディングには、アルカラのベーシストである下上貴弘が参加している。シングルには2017年12月31日の渋谷CLUB QUATTRO公演のライブ音源も併せて収められた。
続いて2018年5月11日に2nd DEMO『キツネツキツー』を出し、同年10月3日には日本コロムビアから1stアルバム『キツネノマド』(COCP-40595)を発表した。全11曲を収めた本作は、それまでのライブで取り憑かれメンバーを迎えてきた形とは対照的に、菅原卓郎と滝善充の2人だけで全パートを制作している。内容はデモCDに入れていた楽曲、童謡のカバーとそのメロコア調のアレンジ、そして新曲を並べた構成になった。もともとアルバムを作る計画があったわけではなく、ライブで演奏する持ち曲が足りないという実際的な事情から制作に至った経緯がある。
2019年8月7日には、7曲入りのミニアルバム『キツネノナミダ』(COCP-40926)をリリースした。収録曲は「Intro~きつねのよめいり~」「まなつのなみだ2019」「てんぐです2019」「MONDAY NIGHT BEER RUN」「アイ・アイ」「犬のおまわりさん」「四川省」で、既発曲を年号付きで作り直したものや童謡のカバーが並ぶ。このレコーディングには、東出真緒(BIGMAMA)、下上貴弘(アルカラ)、爲川裕也(folca)、渡部宏生(heaven in her arms/SZKN)の4人が参加している。
編成についてまとめると、キツネツキは固定メンバーの入れ替わりによってではなく、外から加わる奏者によって形を変えてきたユニットだといえる。取り憑かれメンバーとして名前が挙がるのは、上記の4人のように他バンドで活動するミュージシャンで、担当する楽器や参加の度合いは公演・作品ごとに異なる。ベースレスの2人編成のまま演奏する場面と、ゲストを加えて音数を増やす場面が同じライブの中に併存することもある。
音楽性の面では、1曲あたりの尺が短く構成もシンプルな楽曲が多い。滝善充がギターで作った断片をもとに曲を立ち上げ、1分から2分程度の短い形にまとめるという作り方が取られてきた。菅原卓郎は、シンプルな曲をライブで振り切って演奏するという考え方の背景に、ザ・クロマニヨンズから受けた影響があることを語っている。加えて「犬のおまわりさん」のような童謡を取り上げ、ロックのアレンジに置き換えることも繰り返し行っている。
ライブ活動では、1stアルバム発表後の2018年10月13日から『こんこん古今東西ツアー2018』と題した全国ツアーを行い、福岡、香川、宮城、愛知、大阪、東京の6都市を回った。2019年8月9日には東京キネマ倶楽部で『キツネノナミダ』のレコ発ワンマンを開催し、レコーディングに参加した4人がステージにも立っている。2023年11月9日の新代田FEVER公演では、前半を菅原卓郎と滝善充の2人だけで、後半を取り憑かれメンバーを加えた編成で演奏するという構成が取られた。
機材面では、Y-UPに菅原卓郎と滝善充の使用機材が「9mm Parabellum Bullet/キツネツキ」名義でまとめて登録されている。菅原卓郎の登録内容を見ると、ギターではESPのTrickster、歪みではZ.VexのBox of RockやElectro-HarmonixのOp-Amp Big Muff Pi、Little Big Muff Pi、Nano Big Muff Piといったファズ系が並び、空間系ではBOSSのRV-6、RV-500、DD-6 Digital Delay、モジュレーションではMXRのPhase 90やBOSSのCE-2W Chorusなどが確認できる。アコースティックな出力用としてLR BaggsのPara Acoustic DIやRupert Neve DesignsのRNDIも登録されており、ピックにはESPのPA-9mmTAKURO06がある。
滝善充については、ギターにESPのSUFFERやKARMASTER、Max Cavalera AX、派生モデルとしてEdwardsのE-SUFFER-3S、GrassRootsのG-SUFFERが登録され、アンプではMesa/BoogieのTriple Rectifierが挙がっている。エフェクターはEarthQuaker DevicesのAfterneathやDispatch Master、Dunes Mobile Overdrive、BOSSのSY-1 SynthesizerやMO-2 Multi Overtone、RC-3 Loop Station、DC-2W Dimension Cなど、飛び道具的な音色を作る機種が多い。KORGのmicroKORGやRK-100Sといったキーボードも登録されている。これらは9mm Parabellum Bulletでの活動と地続きの登録内容だが、キツネツキでは滝善充がドラムに回るため、同じ人物でも担当楽器が変わる点はこのユニットを見るうえでの前提になる。
2人の本来の活動の場は9mm Parabellum Bulletであり、キツネツキはそれとは別に立てられた枠組みとして続いてきた。作品のリリース元も日本コロムビアで、公式サイトも9mm Parabellum Bulletのサイト内に置かれている。