崎山蒼志
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崎山蒼志(さきやま そうし)は、2002年8月31日生まれ、静岡県浜松市出身のシンガーソングライターである。グループ名義ではなく個人名義での活動で、作詞・作曲・ギター・ボーカルをすべて本人が担う。アコースティック・ギターの弾き語りを基礎に置きながら、オルタナティブ・ロック、フォーク、ポップスをまたぐ楽曲を書き、作品やツアーによってはサポート・ミュージシャンを迎えたバンド編成でも演奏する。所属事務所はソニー・ミュージックアーティスツ、レーベルはソニー・ミュージックレコーズ。
ギターとの出会いは4歳のころで、地元のギター教室に通い始めたことが出発点になった。小学6年生の時期から本格的に曲を書き始め、2015年ごろには路上ライブを行っている。名前が広く知られるきっかけになったのは2018年5月で、AbemaTVの番組「日村がゆく」内の企画「高校生フォークソングGP」に15歳で出演してグランプリを獲得した。この出演映像がインターネット上で拡散し、中学を出たばかりの年齢で作詞・作曲・演奏のすべてを自分でこなす書き手として受け止められた。
2018年7月に「夏至」「五月雨」を配信リリースしたのち、2018年12月5日に1作目のアルバム『いつかみた国』を発表し、2019年10月には2作目『並む踊り』を続けて発表した。2019年5月には初のホール公演「とおとうみの国」を開催している。そして2021年1月27日、ソニー・ミュージックレコーズからアルバム『find fuse in youth』を発表してメジャー・デビューを果たした。同作は、それ以前にインターネット上で反響のあった曲をあらためて音源化したものと、新たに書き下ろした曲を同居させた構成で、弾き語りを軸にしたトラックからバンド・アンサンブルを伴う曲、電子的な質感を持つ曲までが並ぶ。収録曲「Samidare」は、ドラムに石若駿を迎えたライブ・レコーディングで残されている。
メジャー2作目のアルバム『Face To Time Case』は2022年2月2日に発表された。全12曲の中には、テレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」第5期第2クールのエンディングテーマ「嘘じゃない」、ドラマ「賭ケグルイ双」の主題歌「逆行」、映画「かそけきサンカヨウ」の主題歌「幽けき」といったタイアップ曲が収められている。また、リーガルリリーとのコラボレーション曲「過剰/異常 with リーガルリリー」や、石崎ひゅーいとの共作曲も収録された。
2023年7月19日にはシングル「燈」を発表した。テレビアニメ「呪術廻戦」第2期「懐玉・玉折」のエンディングテーマとして書かれた曲で、作中の登場人物を思い浮かべながら制作したことを本人が明かしている。続く2023年8月9日には3作目のアルバム『i 触れる SAD UFO』を発表し、「燈」も同作に収められた。「燈」のストリーミング総再生数は1億回を超えている。映画やドラマの主題歌、テレビCMへの楽曲提供も重ねており、弾き語りの延長にある曲と、映像作品に寄り添う曲の両方を書き分けている。
影響源として本人が挙げてきた音楽は幅広い。幼少期に the GazettE の映像に触れたことがロックへ向かう入口になり、その後は凛として時雨、ナンバーガール、ゆらゆら帝国、クリープハイプ、BLANKEY JET CITY といった日本のバンドを聴いてきた。海外では Oasis や Linkin Park に加え、Tyler, The Creator、Frank Ocean、Mac DeMarco、ハイパーポップ、さらにジャズ・ギタリストの Julian Lage の名前も挙げている。父親の影響で幼いころからアシッド・ジャズに接していたことも語られている。
演奏面の中心にあるのは、アコースティック・ギター1本でバンドに負けない弾き語りをしたいという発想である。ギターをコードを鳴らす楽器としてよりもリズム楽器として扱い、強く速いストロークと変則的な拍の取り方を組み合わせる。そこに言葉数の多い歌詞が乗ることで、弾き語りでありながらアンサンブルに近い密度が生まれる。レコーディングでも、弾き語りの曲についてはクリックを使わずに一発録りで臨むことがあり、歌とギターの一体感を優先する方針が取られている。一方で本人はエレキ・ギターへの偏愛も公言しており、アルバムではヒップホップ的なトラックやアンビエント寄りの曲、弦楽四重奏を加えた曲など、弾き語り以外の形も試している。
ライブでは、FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL といった大型フェスに出演してきた。2024年には3ピース・バンド編成による全国ツアー「band tour 2024 “春の滲み”」を行い、ドラムに守真人、ベースに有島コレスケを迎えている。同ツアーの東京公演は2024年5月30日に渋谷Spotify O-EASTで開催され、ダブル・アンコールを含めて20曲が演奏された。弾き語りのワンマンとバンド編成の公演を並行させる形が、活動の軸のひとつになっている。
ギターの遍歴は本人の連載で詳しく語られている。4歳のころに教室用のクラシック・ギターを手にし、小学2年生ごろにはアンプ内蔵の小型エレキである Fernandes の ZO-3 を楽器店で購入した。中学入学の祝いには日本製の Fender の Telecaster(キャンディ・アップル・レッド)を京都の楽器店で試奏して手に入れている。中学時代には、BLANKEY JET CITY の浅井健一が使っていたオベーションに惹かれ、お年玉を貯めて Ovation の Celebrity を購入した。中学3年ごろには知人からハグストロームのセミアコを譲り受け、高校1年の冬に Danelectro の U-1、高校時代には1970年代製の Gibson の SG Special を手に入れている。
エレクトリック・アコースティックの主役は Ovation の Adamas Custom である。カーボン・ファイバー・トップを持つカスタム・ショップの特注品で、白からエメラルド・グリーンへ移るグラデーションの外観が目印になっている。高校3年ごろに代理店の厚意で特注されたもので、その後も看板の1本として使われ続けている。サブにはサペリ材をトップに用いた Ovation の C2078AXP-STB Exotic Wood Elite Plus を併用する。エレキ側では、2021年に渋谷の楽器店で見つけた1970年代製の Ovation 1271 Viper を主軸に据えている。
アコースティック側の音作りは、ギター本体の内蔵プリアンプで整えた信号を、BOSS の TU-3S Chromatic Tuner を経由して LR Baggs の Session DI に送り、そこからPAへ渡す構成が基本になる。ボードの電源は Custom Audio Japan の AC/DC Station VI が受け持つ。弦は D'Addario の EJ11(80/20ブロンズ、.012〜.053)、ピックは厚さ0.60mmのおにぎり型を自身のオリジナルで用意している。エレキ側では EarthQuaker Devices の Plumes をオーバードライブに、Death by Audio の Fuzz War と Reverberation Machine をファズとリバーブに使う組み合わせが確認できる。
Y-UPに登録されている使用機材を見ると、この基本線の周辺にさらに多くの選択肢があることが分かる。歪みでは Pro Co の RAT 2 や Mad Professor の Sweet Honey Overdrive、Ibanez の Tube Screamer Mini、Roland の AF-60 BeeGee といった系統の違うペダルが並び、飛び道具として Electro-Harmonix の Q-Tron や Freeze Sound Retainer、BOSS の SL-2 Slicer、Danelectro の Back Talk、Bananana Effects の TARARIRA なども見られる。アンプでは Fender の Twin Reverb、制作環境としては Apple の Logic Pro X が挙がっている。弾き語りという枠組みの中で、ノイズやフィルター、逆再生といった質感を持ち込むための道具が幅広く揃えられている。