川崎亘一は、日本のロックバンド the band apart のギタリストである。the band apart は1998年に東京で結成された4人組で、荒井岳史がボーカルとギター、川崎亘一がギター、原昌和がベース、木暮栄一がドラムを担当する。オルタナティブロックを土台にしながら、ソウルやボサノヴァを想起させるコード感、ヒップホップやAORの手触りまでを取り込んだ音楽性で知られ、川崎はそのアンサンブルの中でギターを受け持っている。 バンドは2004年に、それまで所属していた大手インディーズメーカーを離れ、メンバー自身が運営する asian gothic label として独立した。以降は自主レーベルを拠点に作品を発表し、両国国技館や幕張メッセでの公演、2011年の日本武道館での自主企画を実現している。国内外のフェスティバルへの出演を重ねながらライブバンドとしての評価を築き、アメリカでのツアーや台湾での公演も行ってきた。川崎はギタリストとしての活動と並行して、この asian gothic label の運営にも携わっている。 楽曲制作にも関わっており、ギターのリフを組み立てる作業に強い関心を寄せている。曲づくりを一人で完結させるのではなく、メンバーとやり取りを重ねながら時間をかけて形にしていく進め方をとり、思いつきで決めきらずに確信が持てるまで詰めるという姿勢が制作の記録からうかがえる。バンドの20周年を記念して企画されたフェス「AG FES」は、メンバーにとって地元にあたる東京・板橋区での開催が組まれた。 使用するギターとして際立っているのが Mosrite である。川崎は長年にわたってこのブランドのモデルを弾き続けており、複数本を所有している。手に取ったきっかけは楽器としての見た目に惹かれたことにあり、弾き始めた当初は扱いにくさを感じたものの、それがかえって使いこなそうとする動機になったという経緯がある。父親もかつて Mosrite を使っていたが、その個体は壊れていたため、最初のシングル「Fool Proof」の印税で新たに購入したという経緯がある。Y-UPには、Mosrite の MARK-I ORANGE CUSTOM MODEL が使用機材として登録されている。 アンプは Orange を使う。ライブではヘッドアンプを2台積み、上段に GRO100、下段に OR120 を置いて、クリーンと歪みを役割で分ける構成をとる。スピーカーキャビネットは PPC412 で、Orange の日本国内公式アーティストページでも、川崎の使用機材として GRO100、OR120、PPC412 の3機種が挙げられている。いずれも真空管を用いた性格の強いヘッドで、2台を並べて切り替えることにより、歪ませた音とクリーンな音の質感の差をはっきりと出している。 足元は2枚のペダルボードに分けて組まれている。歪みの中心に置かれているのは A.S.W のペダルで、これは川崎の友人が手がけるブランドにあたる。あわせて、ワウペダルとして Jim Dunlop の Cry Baby Standard GCB95、フィルターとフェイザーとして Moog の Moogerfooger MF-101 と Moogerfooger MF-103 を組み合わせ、曲ごとに音色を作り分けている。アンプのクリーンにこれらのフィルター系とワウを重ねて音を組み立てる曲もある。Y-UPには、このほかにも A.S.W の AGDR-101 や AGDR-102、Electro-Harmonix の POG2、A.Y.A tokyo japan の R-COMP、Oyaide の G-Spot Cable といった使用機材が登録されている。 音作りの考え方としては、輪郭が整いすぎた音を避け、ローファイな質感を残すことを志向している。音質を良くしすぎると誰が弾いても似た響きになってしまうという見方が背景にあり、音数や解像度で押すのではなく、線の細い、いわば「ペラい」響きのままカッコよく聴こえる録音を好む。好ましい音の例としては、レッド・ツェッペリンや、asian gothic label とも縁のあるアメリカのバンド Mock Orange の録音を挙げている。ギターの選択からアンプの組み方、ペダルの並べ方に至るまで、こうした音への向き方が一貫して表れている。
写真は同モデルの一例や代表写真のため、本人の実際の使用モデルとは色やパーツが異なる場合があります。
Mosrite
MARK-I ORANGE CUSTOM MODELオレンジ・フィニッシュのカスタム・モデル。1964年モデルをベースに、バインディングとジャーマン・カーブを備えたバスウッド・ボディ、ボルトオンのメイプル・ネック。ローラー・サドルとVibramuteのブリッジからアームを外している。ライブなどで使用。
Orange
GRO100 (1970s)70年代のヴィンテージ・ヘッド。長く探し続けて手に入れた個体で、OR120と2台を並べて歪み側に使用。ローミッドを押し出す音作りの中心。ライブなどで使用。
Orange
OR120 (1970s)70年代後半のヴィンテージ・ヘッド。真空管やコンデンサーといった消耗品は交換済み。GRO100と2台を並べ、クリーン側に使用。ライブなどで使用。
Orange
PPC4124×12インチのギター・スピーカー・キャビネット。GRO100とOR120の2台のヘッドと組み合わせてステージに設置。ライブ写真で確認。
A.S.W
AGDR-101知人が手がけるブランドによる、川崎のために作られたローファイ志向のオーバードライブ。ウッディな筐体の個体を左側のボードのドライブ系統に配置。ライブなどで使用。
A.S.W
AGDR-1023ステップのドライブ回路を備えたハイゲイン・オーバードライブ/ディストーション。歪みの中心となるペダルで、左側のボードのドライブ系統に配置。ライブなどで使用。
Jim Dunlop
Cry Baby Standard GCB95ワウ・ペダル。右側のボードに配置され、バッファーの次段、スイッチャーの手前に接続される。ライブなどで使用。
Moog
Moogerfooger MF-101ローパス・フィルター。左側のボードに配置し、アンプのクリーン・サウンドと組み合わせて音を作る。ライブなどで使用。
Moog
Moogerfooger MF-10312ステージのフェイザー。左側のボードに配置し、ローパス・フィルターと組み合わせて音を作る。ライブなどで使用。
Electro-Harmonix
POG2ポリフォニック・オクターブ・ジェネレーター。左側のボードの空間&フィルター系統に配置。ライブなどで使用。
TC Electronic
PolyTuneポリフォニック・チューナー。右側のボードに配置。ライブなどで使用。
A.Y.A tokyo japan
R-COMPROSS系サウンドの国産コンプレッサー。クリーン・トーン時はかけっぱなしで使用し、右側のボードに配置。ライブなどで使用。
A.S.W
AGDR-401コントロール・ノブやオン/オフ・スイッチを持たないバッファー。ペダルボードの初段に置き、ギターからの信号を最初に受ける。足下の音作りの土台となる1台。ライブなどで使用。
Oyaide
G-Spot Cable楽器用シールド・ケーブル。ローファイな音を求めて選んだ一本で、他の楽器の音に埋もれない鳴りが特徴。
Oyaide
QAC-222G楽器用シールド・ケーブル。音抜けの良さと中域の密度の濃さを理由に選んだ一本。
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